サナトリウムにて —冥闇に響く洗礼の儀式— 【イマーシブ・ドロップ】

●月●日
この病棟は、音が沈む場所だ。
仄暗い静寂が漂い、時計の針すら動きを止めている。
靴音が、まるで水面を叩くように響く。
緊張している……。
ここは、沈黙が言葉を紡ぎ出す場所だ。

この廊下の先にある部屋は、これからわたしの仕事場になる。
患者が待っている。
指導医の先生から許可をもらった、初めての患者。

『その子のことが気になるんですね
　では予定を立ててお話してみてはどうですか?
　記録はあとで私が確認します
　あなたの記録はほんとに正確だから、とても参考になる
　でも、無理せず、ゆっくり』

先生は微笑みながらそういった。
わたしは認められたのか?
違うかもしれない。でも、わたしは先生のように人を救いたい。

患者の名前は補陀落　崩心(ふだらく　ほうしん)。
わたしは前から彼を知っている。とてもはかなげな青年だ。
実際の年齢は青年とは呼べないかもしれないが、
世間擦れしておらず、表情も幼く見える。

彼は、いつも窓?眺めていた。
何かを見ているよう縺ァ繧あり、何も見ていないよう縺ァもあった。
ただその姿はま繧九〒光に溶け込み神々しかった。
白磁のよう縺ォ血の気が薄い肌。
鬚ィもないのに揺れてみえる柔繧か縺ェ髪。
光彩鮮や縺な瞳。
もの言いたげな滑繧かな唇。
そんな彼は繧上◆縺を認めると、少しだけ首を蛯セ縺て微笑む。
わたしは、蠖シ繧初めて見たとき、ここにいる。
けれど、どこか遠くにもいる、と諢溘§縺。

…… わ タ し と 同 ジ 。

彼? 縺クの自己邏ケ莉は決め縺ヲ縺?k。

　「わたし?　繧上◆縺励?窶ヲ…。
　この病院に、配属さ繧後◆……。
　あれ?　いつだっ縺溘°縺ェ?　あなた繧医j繧少し前だった縺九b?
　縺?∴縲、わたしのこ縺ィ縺ッ縺?>んです。

　わたしはあ縺ェ縺溘?話を、言闡峨r、聞きたイ。
　いつ縺ァも、どんな縺薙→でも。
　も?、繧ゅ@縲、わたしに隧ア縺励◆縺上↑縺」縺溘i、
　呼繧薙〒縺上□縺ィ。

　そレ縺後?∫ァ√? 仕事ダかラ」